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イエスの福音への招き「新しい天と新しい地」

2020年06月02日

年間第九火曜日

2020年6月2日(火)

 

「皇帝のものは皇帝に、神のものは神に返しなさい。」

神は地上の現実の在り方について人間それぞれに、自由な判断と実行の可能性を与えている。政治共同体の責任者は与えられている範囲での責任を果たすことが期待されている。皇帝には皇帝としての義務と責任が与えられている。皇帝は自分の良心に照らして自分の責務を遂行しなければならない。皇帝が如何に判断し行うべきかについて、その良心に呼びかけるのは神からの声である。皇帝は決して、恣意的あるいは利己的に統治してよい訳ではない。

「政教分離」とはそのように解すべきである。

「神の日の来るのを待ち望み、また、それが来るのを早めるようにすべきです。その日、天は焼け崩れ、自然界の諸要素は燃え尽き、熔け去ることでしょう。しかしわたしたちは、義の宿る新しい天と新しい地とを、神の約束に従って待ち望んでいるのです。」

上記福音朗読個所と「政教分離」原則がいかなる関係にあるのか、にわかに判断できないが、「天は焼け崩れ、自然界の諸要素は燃え尽き、熔け去る」時が来るとペトロの手紙が告げている。一切の被造物は灰燼に帰し破壊される。すべてはご破算になるという意味か。そのあと「義の宿る新しい天と新しい地」が出現するのである。この世界と被造物は絶えず不完全な状態にあり、あるいは不正と不調和の支配する状況に置かれている。しかし、最後の時、終末になれば、一切は一新されて、問題は解決し、「新しい天と新しい地」が登場するのである。

この信仰と希望をもって日々忍耐し励まし合うではないか。

第一朗読:ペトロの手紙二(二ペトロ3・12-15a、17-18)

(愛する皆さん、)神の日の来るのを待ち望み、また、それが来るのを早めるようにすべきです。その日、天は焼け崩れ、自然界の諸要素は燃え尽き、熔け去ることでしょう。しかしわたしたちは、義の宿る新しい天と新しい地とを、神の約束に従って待ち望んでいるのです。だから、愛する人たち、このことを待ち望みながら、きずや汚れが何一つなく、平和に過ごしていると神に認めていただけるように励みなさい。また、わたしたちの主の忍耐深さを、救いと考えなさい。それは、わたしたちの愛する兄弟パウロが、神から授かった知恵に基づいて、あなたがたに書き送ったことでもあります。
それで、愛する人たち、あなたがたはこのことをあらかじめ知っているのですから、不道徳な者たちに唆されて、堅固な足場を失わないように注意しなさい。わたしたちの主、救い主イエス・キリストの恵みと知識において、成長しなさい。このイエス・キリストに、今も、また永遠に栄光がありますように、アーメン。

福音朗読:マルコによる福音書(マルコ12・13-17)

(そのとき、)人々は、イエスの言葉じりをとらえて陥れようとして、ファリサイ派やヘロデ派の人を数人イエスのところに遣わした。彼らは来て、イエスに言った。「先生、わたしたちは、あなたが真実な方で、だれをもはばからない方であることを知っています。人々を分け隔てせず、真理に基づいて神の道を教えておられるからです。ところで、皇帝に税金を納めるのは、律法に適っているでしょうか、適っていないでしょうか。納めるべきでしょうか、納めてはならないのでしょうか。」イエスは、彼らの下心を見抜いて言われた。「なぜ、わたしを試そうとするのか。デナリオン銀貨を持って来て見せなさい。」彼らがそれを持って来ると、イエスは、「これは、だれの肖像と銘か」と言われた。彼らが、「皇帝のものです」と言うと、イエスは言われた。「皇帝のものは皇帝に、神のものは神に返しなさい。」彼らは、イエスの答えに驚き入った。