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2019年10月27日
ペトロ 岡田 武夫
「霊の結ぶ実は愛であり、喜び、平和、寛容、親切、善意、誠実、柔和、節制です。これらを禁じる掟はありません。」(ガラテヤ5・22-23)
いつも心に浮かぶ聖パウロの言葉です。聖霊はすべての人に注がれています。日々色々な人に出会いますが、人に親切であり寛容、柔和である人は、決して少なくはありません。
昨日のことです。わたしは台東区にある下谷警察署に行きました。後期高齢者の免許更新交付を受けるためです。不安がありました。視力検査に合格できるかどうか? 最近視力減退を感じています。白内障の手術を受けてから検査を受けるほうがいいだろうか、という思いがありました。結果はかろうじて合格、しかし再々試験の結果です。
まず警察署の場所をみつけるのに一苦労、地元の人に何回も訊(たず)ねました。以前は決して人に道を訊(き)く、ということはしなかったのに。皆親切です。
視力試験の担当の警察官も親切でした。何回テストしても、どうしても規定の視力0.7に達しません。眼鏡が合わないのかもしれない、午後別なメガネでもう一度やってみませんか、と言ってくれました。はい、午後来ます、と答えて、帰宅して以前使っていた眼鏡を見つけ、試してみると、心持ち良く見えるようです。
不安を抱えて午後同じ警察署へ。今度は道を訊かなくとも無事到着。すぐに検査してくれました。そして「いいですよ」と言ってもらいました。大変嬉しかった! 実はもう運転を辞めようかと思うのですが、千葉県の故郷の家に帰るためにはどうしても運転が必要
で、もう3年は運転しなければならないと考えていました。合格後免許に張る写真の撮影が行われました。写真の自分は珍しくそれとなく微笑んでいます。
試験! 試験! 後期高齢者になるまでの人生で何回試験を受けただろうか。入学試験、学科試験、入社試験、司祭・司教への叙階の審査・・・数えきれないくらいあります。これが人生最後の試験かな? いや最後はこの世を去る時です。
最近の試験の中で自動車免許更新合格が大きな喜びでした。どうしてなのでしょうか?高齢者が人の情けに触れた喜びでしょうか? ひとりで頑張って出来た、という気持ちもあります。昨日出会った人々に心から感謝します。
信仰する者として本当は日々もっと喜ぶべき体験があるはずです。福音宣教とは、福音の喜びを伝えることです。
ちなみにこの合格の日の夜7時から、教皇フランシスコの教え『福音の喜び』の勉強会がありました。「福音の喜び」とはまず、情けない、惨(みじ)めな状態、自分に合格点を付けられない状態にあるわたしたちに神が「あんたは大丈夫だよ」と合格点を付けてくれているということを信じることであります。
聖霊来てください。聖霊の実りを豊かにうけることができますように。愛、喜び、平和、寛容、親切、善意、誠実、柔和、節制の実りで日々を飾ることが出来ますように。
(おかだ・たけお 東京教区名誉大司教・本郷教会小教区管理者)
(本郷教会発行「ケファ」310号巻頭言より)