カトリック本郷教会 > お知らせ > 岡田前大司教メッセージ > 典礼小講和 その5
2020年03月23日
2020年2月9日(日)11:00 、本郷教会 ペトロ聖堂
復活祭、4月12日に向かって、これから本郷教会の典礼行事を準備していきたいと思います。
きょうは、復活祭に至る概観を一緒に見まして、その後、どういう風に準備をしていったらいいか、およその日程というものを決めたいと思います。
用意したプリントをご覧ください。既に、何回か、典礼についての話をして参りました。典礼という言葉は「レイトウルギア」といいますが、「公の奉仕」という言葉に由来しています。ですから、個人の祈りではなくて、教会として公に行う行事でありまして、その中心は「ミサ」であります。まあ、他に「教会の祈り」とか、あるいはその他の典礼行事がございます。キリストの救いの御業を「今、ここ」に現存させることが典礼であって、それを日本語では「記念」、もとの言葉で言えば「アナムネーシス」と言いまして、「わたしの記念としてこれを行いなさい」と言われたイエスの言葉は「アナムネーシス」であります。それで「アナムネーシス」が行われる時に、主イエスがわたし達につかわされた聖霊の働きがあるので、2000年前のイエスキリストの生涯が今、ここに現実のものとして、再現されるようにわたしたちは理解しています。これらは、すべて今までお話ししたことです。この、イエスキリストの神秘の記念は、カトリック教会は典礼暦という暦に基づいて執行しています。イエスキリストの生涯、その前のイスラエルの民の歴史、それからキリストの死後、誕生した教会の働きと救いの歴史を、今ここで、振り返りながら、わたしたちのこの教会のあり方を深く思う時が典礼であります。
その典礼の頂点となるのは、復活祭、復活祭の前の晩、復活徹夜祭がもっとも重要で、内容的にも最も豊かな典礼となっているのであります。復活徹夜祭が我々の典礼の頂点と言ってよい。ですから、復活徹夜祭の典礼の勉強をしなければならないと思う。非常に内容が豊かである、あるいは、複雑であるので、とても消化しがたいという感じがするわけですね。それで、皆様と一緒によく準備して参加した人がしっかり受け止められるようにしたいと思います。
ことし2020年は、A年ですね。三つの福音の朗読に従って典礼暦年はA年、B年、C年に分かれていますが、現在マタイの年をわたしたちは行っているわけであります。ことしは2月26日が「灰の水曜日」で、灰の式があり、回心、償い、そして愛の御業を行う決意を新たに致します。その直後の日曜日が四旬節第一主日、四旬節の主日は5回あるわけですね。
○第一主日:毎年そうですが、イエスが荒れ野で40日間にわたって、悪霊の誘惑を受けて退けたという話を必ずあげてあります。
○第二主日:ご変容したという、苦難を経て復活の喜びに至るイエスの道をあらかじめ指し示した話。
○第三主日:「イエス、サマリアの女に福音宣教をする」という話であります。
○第四主日:「シロアムの盲人の癒し」生まれつき目の見えない人がイエスによって目が見えるようにして頂いた、という話から、「闇から光へ」と導かれる復活への道を示す話である。
○第五主日:「ラザロのよみがえり」の話。ラザロはよみがえりましたが、復活したわけではない、わたしたちは単なるよみがえりではなくて、復活のいのちへと召されているということであります。
○受難の主日:この日から聖週間になる。「他人は救ったのに、自分は救えない」と罵られるイエスの姿をわたしたちは記念する。
以下、受難の月、火、水とミサを献げます。
○受難の月曜日:ベタニアのマリアがイエスの足にナルドの香油を塗ったという福音であります。
○受難の火曜日:ユダが裏切りの決心をしていく。何故、ユダが離れていったのかという神秘。神秘というか不可解な出来事をせめて年に一回は考えてみようと、いう日であります。
○受難の水曜日:イエスは12弟子と過ぎ越しの食事をします。この時ユダが裏切りを実行するということになる。
○聖木曜日:次は木曜日ですが、「聖香油のミサ」が献げられる日です。聖香油のミサは、カテドラルで司教が献げます。このミサの中で、司祭は約束の更新をする。司祭になる時に行った約束をもう一度行う。そして3種類の油の祝福、聖別が行われます。「病者の油」「洗礼志願者の油」「聖香油」の祝福が行われます。洗礼志願者の油は洗礼志願式の時に使うわけです。それで、ことし、洗礼志願者がおりますので、6人か、かなりの方が予定されているということで、四旬節第一主日のミサの中で洗礼志願式を行います。これも打ち合わせが必要ですね。それから、病者の油ですが、今、土曜日、月に一回、「病者のためのミサ」というのを献げております。ミサの時に油を塗って、一人一人の体と心の健康をお祈りしておりますが、これは厳密な意味での病者の油という秘跡の執行ではないのであります。ないということになります、わたしが自分で教えたカテキズムに照らしてみると、若干条件が不足していますが、でもこれは病者の油の執行ではなくて、一人一人に体の健康をお祈りし、按手し、塗油を行うものとご理解ください。色んな教会で塗油を行うようになってしまって、わたしとしては、ちょっとそれはまずいんだなあ、と思ったけれど、現場に来てみると、やっぱりこれやった方がいいのかなあ、と感じます。それで、板挟みになって、考えついたのは、「これは病者の塗油ではありません」、ということであります。
秘跡ではない。秘跡でなければ意味が無い、というわけではないですね。「準秘跡」と言ってもいいんですけどね。
そして、木曜日、司祭は自分の教会に戻って、『主の晩餐の夕べのミサ』を献げます。
このミサで過ぎ越しの記念を行います。旧約聖書の過ぎ越しと、新約聖書の過ぎ越しを行うことで、
新約の過ぎ越しが、旧約の過ぎ越しに由来していることをここでしっかりと心に刻むわけであります。
そしてイエスが弟子たちの足を洗った故事にならって、「洗足式」を行う。これも、準備をお願いします。
どなたかが足を洗うのか、皆さんで決めていただきたい。以前は男性に限られていたんですけれど、いまの教皇様が自分で教会の規則を破って、女性の足を洗ったので、やむを得ず、教皇庁は女性も対象にしてよいというふうに改訂したのでありますが、その前に世界中のあちこちで女性の足を洗うということはもう、行われていたんですね。あまり規則と言うのを気にしないでよろしい。
○聖金曜日:『主の受難』言葉の典礼。ヨハネの受難の朗読。盛式共同祈願。
この「盛式共同祈願」の「盛式」という言葉が珍しいですね。正しい、ではなく、盛ん、という字なんですけれども。それで、日本の教会の事情に合わないお祈りも一つ二つあるかもしれないので、全部はやらないということにいたします。「十字架の礼拝」はどういう風にするか、いくつかのやり方を選択できるということですね。
○いよいよ「復活徹夜祭」が来る。これは非常に長いですね。「光の祭儀」。「言葉の典礼」。ことしは受洗者があります。堅信については、ここは、一応カテドラルに近い教会なので、カテドラルに行って、カテドラルというところがあって、司教がいて、司教が堅信を授ける、という体験をしてもらいたい。ですから、洗礼式だけ行って、堅信は行いません。特別事情のある方は行います。例えば、転会者、既に洗礼を受けている人、あるいはご病気の方、堅信式は聖霊降臨の日なので、聖霊降臨の日まで待つのが難しい方もあるかもしれない。そういう方には堅信を授けるつもりですが、お元気な方は順々に、洗礼、それから堅信、と、堅信はカテドラルで大司教から受けるようにしていただきたい。そして、既に洗礼を受けている皆さんは、洗礼の約束の更新をしていただきます。
○翌日が「復活祭」当日ですが、前の晩の行事が盛大なので、復活祭当日はちょっとみんな疲れているようですけれども、本来は復活祭の当日が一番大切ではあるんですが。復活祭の日中のミサを献げます。
それから、聖霊降臨祭に向かって歩んでいく、と。聖霊降臨祭は「ペンテコステ」と言われている、「50日祭」。復活祭から50日目が聖霊降臨祭となります。
聖週間の典礼はこういう流れでやります。それで、かなり詳しく式次第の注意書き、それから役割分担のメモ、あるいは表を作って、誰が何をするのか、とういうことを決めていきたいと思います。
『聖週間の典礼』という冊子がありますので、これを皆さんで使っていただく。なお、司式者の典礼書はこれですね、『聖週間の典礼』これはミサ典礼書の中から、聖週間の部分だけ抜粋したもので、同じものなんです。重くて大きいので、聖週間用に抜粋したものであります。これはわたしがどこかで使っていたものなんですが、引っ越しに際して探したら、同じものが2冊も3冊も出てきました。
きょうは少しだけ、「復活徹夜祭」のところを開けてください。
「光の祭儀」が行われますが、この、リハーサルをどこかでやらないと…。わたし…、初めてなので、この教会では、どういう風にやるか、練習をしたいと思う。それから、『復活賛歌』ですね、復活賛歌は非常に大切な歌なんですけれども、これは、助祭が歌うことになるんですが、助祭がいないので、助祭を呼んでくるというわけにもいかないかな、いなければやるしかないかなあ、練習しないといけない。
「ことばの典礼」ですが、これは非常に豊かな内容なんです。これを全部やると、ものすごく時間がかかる。夜が明けちゃいますので、選択します。
『創世記』が二つあるので、どちらか一つ、すみません、わたしが選びます。
第三の『出エジプト記』は今まで通りやります。
第四、第五がイザヤですので、どちらかを選ぶことになる。
第六『バルクの預言』というのは普段なじみがないんですが、これはこの間、たまたま聖書通読会で読んだんですが、これはまあ、割愛ということになる。
それから、第七朗読、「エゼキエルの預言」これは洗礼式があるので、読まれなければならないです。
それで、やっと「集会祈願」があるんですね。普段の集会祈願はミサが始まってすぐですけど、復活徹夜祭の場合はかなり時間がたってからやっとミサの集会祈願がある。
通常の第二朗読にあたるのが、ローマ書の6章で、これは洗礼の意味を説明している、非常に重要な箇所であります、洗礼を受けるということは、キリストの死と復活に与ることである、ということを言っている箇所で、この朗読を、まあ、これに限らないんですが、ちょっと、朗読の練習をですね…、どこかでしたいと思うんですね。普段もそうなんですが、特に、この日の朗読は非常に重要なので、どこか日を設けて、声に出して朗読をしていただくようにしたいと思います。
説教はもう、長くはできません。多分、洗礼式があるので洗礼についての話になると思います。
洗礼を受ける人はことしは数名おられる。大変うれしいことであります。洗礼志願式を四旬節第一主日に行うので、その打ち合わせをしっかりしたいと思う。
それから、「派遣の祝福」の時には、この日から「アレルヤ」が加わります。
「行きましょう、主の平和のうちに アレルヤ!」とアレルヤが、加わるということであります。
大体、復活祭までの典礼の流れはこうなっております。いかがでしょうか。
かなり詳細な「典礼執行のト書き」のようなもの、それを準備していただきたい。そのために、いくつかの点について、事前に相談して決めたいと思います。きょうはまだいいと思うんですけれど、次回には、その「典礼執行注意書き」を作りたい、その原案を準備しないといけないんで、毎年やっているものを見せて頂いて、それをもとに来月、この集いで確認したいと思う。よろしいでしょうか。
そんなに難しいことはないと思う。だいたいは決まっているんですから。ただ、その教会ではこうなっているのでこうしたい、というようなことはある、世界中同じように行われるわけではないが、大筋は決められているので、それに沿ってやればよいと思う。難しいことはないし、だいたい打ち合わせ通りにはいかないもので、行き違いがあったりもするんですけれども、そんなことはたいした問題じゃないと思っています。
質問;灰の水曜日に夜のミサに出られない場合に次の日曜日に灰の式がございますか?
司教:灰の式は灰の水曜日の式なんですよね、色々な教会で次の日曜日に受けるということをやっていますが、わたしはしたくないと思っています。皆さんがしたければ致しますが。
堀江:今までの神父様は灰の水曜日に来られなかった方には次の日曜日に灰を授けていました。でも、確か、去年の教区の方から「灰の水曜日以外には灰の式をしないように」という通達がありました。ですから、受けたい方は灰の水曜日の式にいらしてください。
質問:灰の水曜日のミサの開始時間について。例年7時からなのが、ことしは6時からとなっている。
6時からだと、仕事帰りで間に合わず、来られない方もあると伺っている。
司教:その日聖書通読会があるので6時としましたが、皆さんの多数決に従います。
では、7時にしましょう。
堀江;洗足式は、例年、6名としています。女性の方にも声をかけていますが、遠慮される方も多くいらっしゃいます。ご指名しましたら快く受けていただければと思います。早く声をかけるようにしますので、女性の方はストッキングでなく、短い靴下でいらしてください。