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[コラム] 原風景

2017年04月28日

 

ヨハネ・マリア・ビアンネ 浦野 雄二神父 (本郷教会小教区管理者)

1月の下旬のある日のことでした。久しぶりに、出身教会の本所教会に行く機会がありました。厳密に言うと、同教会の敷地にある本所白百合幼稚園の誕生会のピンチヒッターとして、伺いました。

思い起こせば、本所白百合幼稚園2年保育のゆり組を卒園したのは、51年前のことになります。同幼稚園は、園舎が建て替えられているので、当時の面影はほとんどありません。少し早く着いたので、聖堂に入って、しばらく静かな時間を過ごしました。聖堂も改修が施されているので、当時の雰囲気とは異なっていますが、ルドビコ茨木や聖フランシスコ・ザビエルの聖像や十字架の道行きなどは昔のままで、聖堂内に置かれていますし、聖堂のドアなども昔のままです。懐かしい思い出が、いろいろと頭の中に浮かんできました。

お弁当を食べるのが遅くて、他の友達は園庭に遊びに行っているのに、教室で一人残ってお弁当を食べている場面、クリスマス前、聖劇のために舞台が運び込まれて、3人の博士の一人を演じたかすかな記憶、小学生になってからは教会学校が幼稚園の園舎で行なわれていたので、その時の思い出、神学校に入る前に寺男みたいなことをしていた時、当時の幼稚園の子どもたちと遊んだことなどが思い出されました。そんな思い出の中で、特別に思い出したのは、ゆり組の担任であったO・S先生のことでした。O先生は、21年前の本所教会での私の初ミサの時にお会いしたことがありましたが、それきりになっていました。

誕生会から戻って、O先生の住所を調べ、手紙を書きました。先生からは電話があり、今は87歳になっていて、目黒区の方で3つ違いのお姉さんと静かに過ごしているということでした。私の遠い記憶の中にある先生の歳を、思わず逆算してしまいました。2月の中旬のある日、先生に会いに行って来ました。失礼な言い方になりますが、お亡くなりになっていてもおかしくない年齢ですが、ご存命であったことは、神様からのプレゼントだったのかと勝手に思っています。

本郷教会会報『ケファ』300号 巻頭言より