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[コラム] かたつむりはどこに?

2017年07月23日

ヨハネ・マリア・ビアンネ 浦野 雄二神父  (本郷教会小教区管理者)

幼稚園の仕事をしていて、時代の変化を感じることがあります。特に自然の変化です。子どもたちにとっての一番身近で、人気者は「だんご虫」でしょうか。「だんご虫」は健在ですが、その姿を見ることができなくなったのが「かたつむり」です。

私の子どもの頃、梅雨というと、雨に濡れたあじさいの葉にいる、かたつむりを思い起こします。しかし、この「かたつむり」を見ることはほぼ、無くなってしまいました。カテドラル構内で、ボランティア的に植栽を手入れしているIさんという方がいます。先日、「カテドラル構内に、かたつむりは見かけませんか」と尋ねると、「まず見ないですね」という答えが返ってきました。その数日後、紙コップに入った1匹の小さなかたつむりが、Iさんから届きました。自分の家の近くで、たまたま見つけたので持ってきてくれたとのことでした。

子どもたちは、童謡「かたつむり」を歌いますが、実際にその姿を見ることは、ほとんど無いということになります。「かたつむり」をインターネットで検索し、映像では「かたつむり」を見るのでしょうが。しかし実際、目で見て、触れてということは映像には無理があります。そのうちそんなことが可能になるのでしょうか。映像から3Dプリンターに出力するようなことができるのかもしれませんが、ちょっと悲しいですね。

近頃、「ヒアリ」という外来生物のことがニュース等で、取り上げられることが多くなりました。姿を見なくなってしまう生物がいる反面、今まで見ることがなかった生物が生態系を壊す現実があります。グローバル化や人間の営みの中で、避けて通ることのできないことなのでしょうか。神様は、ご自分の創造のわざの破壊を、どんなまなざしでご覧になっているのでしょう。

本郷教会会報『ケファ』 301号 巻頭言より